11/12/2006

『ヤバイ経済学』

中国のブロガーたちの間でもかなり人気の『ヤバイ経済学』という最近話題の本を読んだ。

経済学の勉強という目的で買って読む読者には要注意だ。なぜならこの本はその名の通り、内容がかなりいかれているのだ。スティーヴン・レヴィットとスティーヴン・ダブナーの二人の共著になっているが、実質前者は経済学者で、後者は新聞記者である。

本書は経済学よりも、各種の統計手法を使って、数字から社会の様々な出来事の裏を読み取るという過程をドラマチックに展開している。

90年代後半からのアメリカの青年犯罪率の低下の原因は、80年代に行われたある中絶を巡る裁判の結果に由来するというのはかなり人をびっくりさせられる結論だが、スティーヴン・レヴィットは、数字でそれを立証している。

ほかにも選挙キャンペーンの中でのお金の使い方とか、ハーレム出身者の名前の付け方が子供の将来に与える影響など、およそ経済学とは関係のない研究が行われ、驚くほどの結論が次々に出てくるのである。

日本に関係する話も出てくるので、かなり興味深いテーマについてである:大相撲における八百長の可能性についてだ。

1989年1月から2000年1月までに、281名の相撲力士が3200回の試合を取り組んだ。

これらの取り組みの中で、「最も八百長を必要」とするケースに対して分析してみる。

十勝以上をした力士には、200万から1000万以上の現金に値する敢闘賞や技能賞が待っているほか、非物質的なその他ご褒美が沢山あるので、八百長に応じるケースが殆どないと考えられる。

最も八百長を持ちかける可能性があるのは七勝七敗した力士で、昇進か降格かここで決まるからである。

反対に、持ちかけられてそれに応じる可能性が一番大きいのは八勝六敗した力士。勝敗の結果が番付に影響が殆どないからである。

統計学的な計算結果によれば、七勝七敗した力士と八勝六敗した力士の試合勝率は48.7%の筈だが、実際の勝率はなんと79.6%である。

これを背水の陣として、七勝七敗の力士が踏ん張った結果と考えられなくもないが、下記の事実はそれに対する反論になり得る。

七勝七敗した力士と九勝五敗した力士の試合結果を見ると、理論的勝率が47.2%であるにもかかわらず、実際の勝率が74.4%である。

これって、経済学?

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