11/15/2006

賭博特別区

広東省のシンセイという町は、日本人の方々にも馴染み深い経済特別区であり、経済改革の経験を積むためという名目で、昔から中央政府から様々な優遇措置を受けてきた。

基本的に、1980年代から始まった中国政府による経済改革の本質は、早期において、完全な放任と無作為そのものだと言っても過言ではない。

特に1989年の六・四事件後は、北京での凶行を人々の記憶から消し去るために、鄧小平自らが経済特区と指定していたシンセンに赴け、「発展こそは道理だ」と拍車を掛け、それまでイデオロギー重視の「社会主義国」である中国は、ブレーキが外されたように、血みどろな資本主義初期段階に猪突猛進して行った。

法律と金融システムの欠落した状況の中、「「経済改革」という大義名分の下で、欲だけが横行し、中国の「社会主義性」は瞬く間に瓦解し、どこから見ても、この国は猛烈な勢いで麻薬や売春、ギャンブルが横行する、腐りきった「資本主義国」に変貌を遂げている。

この過程の中で人々が得た最大な教訓は、「やったもの勝ち」ということに違いない。なにしろ、経済改革には、往々にしてルールがないだけでなく、むしろそのルールを壊すことが改革になるというのが真実だ。

実社会でさえ法律の規定が曖昧なので、インターネット上はなお更である。中国政府は、反政府言論や、共産党批判に対しては努力惜しまず封鎖やら、検閲やら厳しくやっており、巨額の予算を掛けて、悪名高いGFWまで作り上げたが、ポルノや賭博に対しての管制は見せしめ程度の検挙に止まっており、実状は非常に甘いのである。

ところで、今回台湾「中央報」が報じたネットギャンブルの胴元は、そこらへんのチンピラや悪党ではないのだ。それはなんと、広東電信管轄下のシンセン電信そのものである。 日本で言うならばNTT東日本の横浜支社が独断でネットギャンブルをやっているような事柄だ。

シンセン電信は「中国游戏中心」(中国ゲームセンター)なるネットゲームサイトを運営しており、そのゲームの中で使う擬似貨幣の発行、両替を取り扱っているのだ。こうした業務は全て堂々と各営業窓口で行われているのである。ゲームの参加者は、ブラックジャークなどの博打に参加し、一回の掛け金はというと、多い時には、一人20万人民元(300万円)というから驚くものである。

このシンセン電信のギャンブル疑惑は今のところ、報道されただけで、なにも処分を受けていない。さすがはシンセン特別区、なんでもありの奇跡な街。

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