11/11/2006

勇気あるブロガーに幸あれ!

昨日のVOA放送の報道によると、中国において、ブログの数は3000万を超え、言論の自由が制限されている中、中国の人々の重要な言論道具になっている。

一方、国境なき記者団が最近発表したインターネットに「敵対的」で、システマチックにインターネット上における言論の自由を踏みにじんでいる「恥ずべき名簿」(Roll of Shame)の中には、中国、キューバ、イラン、北朝鮮と、「悪の枢軸」如きの面々が仲良く並んだ。

こうした中、このブログの始まりを触発してくれたと言っても過言ではない一人のブロガーは、今日も戦っている。

彼の存在を知るまでは、中国国内のブロガーは、ある種の職業の延長でブログをつけている人(芸能人、マスコミ関係者)以外は、殆ど比較的裕福層の暇人で、この犬儒的な時代に愚痴や自慢し合う人たちだと考えていた。所謂「民衆の声」は、基本的にモグラ叩き式にBBSでしか現れないもの、とも決め付けていたのだ。

8月のはじめ頃、いつも見ていた友人のブログに、陳洪という人に関する記事が引用され、そのタイトルは「エリートとどん底との深い亀裂‐‐無免許オートバイタクシー運ちゃんと大学院卒業生との対話」だった。

湖南省の省都長沙市に在住の、その「無免許オートバイタクシー運ちゃん」の名前は陳洪、元国営工場の労働者として20年間近く働き、80年代に始まった経済改革の大潮に押し流され、中年後半にして失業を余儀なくされた、典型的な「社会進歩の犠牲者」である。

その陳さんは、実名でブログを開き、アルバムには堂々と顔を出し、自分の置かれた境遇を切実に絵描きながら、公務員の無作為、許認可制度の理不尽、様々な社会の不公正を痛烈に批判している。

その立場に共感し、彼の勇気ある言論に感銘を受けた読者は瞬く間に増え、あっという間に40万PVを突破してしまった。

その彼の社会批判に反論する格好で、大学院卒業と自称するエリートが登場、行き成り陳さんの境遇は自分自身の不徳に由来するものだと決めつけ、彼が生計を立て、大学生の息子の学費を稼ぐためにやっているオートバイタクシーの無免許運営についても厳しく糾弾した。

これに応えて、陳さんは手紙形式の長文をブログ上に掲載し、二十世紀80年代以来の中国の変貌が一般労働者階層に与える影響を如実に絵描き出し、一連の弱肉強食の激しい社会変動の背後に、如何なる道徳的根拠と社会的正義があるのかを問い詰めている。

以来3ヶ月、陳さんは自分の使っていた和訊というプロバイダーの看板ブロガーになり、ブログは機能と画面ともに少々豪華になった。そして、彼の奮闘を支えている読者のページビュー数も、994,662になった。

100万PVの大台が目の前、そんな悪運にもめげず、自分のために、息子のために、社会的弱者の皆のために、一生懸命に生きて、戦っている陳さんにエールを送りたい。


嘗ての職場の跡地には、手の届きそうもない立派なマンションが

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