12/25/2006

雷鋒ブランドのゴム

一昔、「雷鋒」は共産党が統治下の社会主義中国の道徳的象徴であった。

貧しい農民の家から、解放軍に入隊した彼は、『毛沢東語録』を常に携行し、暇さえあればその学習に精を出してた。

毛沢東思想を習得し、消化した彼は、貧乏な人にはお金を寄付するなど、様々な良い行いを実践した。

ある時、自動車運転手である彼は任務中に、何故か倒れた電柱の下敷きに...

彼の身辺整理に当たった戦友が彼の日記を読んでみると、あらま、『毛沢東語録』の学習した感想と、自らやった善行が詳らかに記録されてあった...

一夜にして、彼は全国人民の模範とされ、毛沢東と時の右腕だった林彪の大号令の下で、中国人は競うって善人になろうと様々な良い行いをした。

自分としては、「雷鋒叔父さんに学ぼう」というキャンペーン中で、(中学校の)同級生が親からもらった小遣いの一部を拾得物として先生に差出、先生に褒められたという記憶が未だに残ってる。

彼は生前、色んな講演も行っていた。その内容の大半は、国民党時代の生活苦の記憶や、共産主義制度の優越性を謳えていた。しかし、その講演の中では、自分の母ちゃんの死に方に関する記述さえ数通りあって、ゴロゴロ変わっていた。

時が流れ、「雷鋒叔父さん」は過去の人。今や中国のBBSでは、その死因までもが皮肉られ、「本当は間抜けなヘマをしたんじゃない」と。

極め付きはこれ、「雷鋒コンドーム」。使う者は皆善人だということか。

値段はというと12元で3個入り、ほかのブランドより物によっては、数倍高い。

「雷鋒」が象徴する共産主義精神は何処に...

密かに思うが、あの時代にして、あの風潮の中で、「雷鋒叔父さん」は死ぬまで童貞だった可能性は無限大。

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