5/25/2007

カウントダウン

オリンピックの話ではなく、同級生の家の食卓に張り付いていた紙のことである。

久々に故郷に帰って、同級生たちはもう自分と同様、中学生や高校生の親になっていた。最初の食事会や飲み会は皆快諾し、仲良く青春時代の話に花を咲かせた。しかし其の後は、用事は電話で済ませ、アフターファイブの付き合いは一切なくなった。家から出られない理由は皆が同じ、子供の受験が控えているからだ。6月の中国は受験の季節。

先日、親友の家で夕食を食べた。

その娘は我が家の長女と同じ年、今年は高校受験の年にあたる。テーブルに着くと、ガラス板が敷いてあった。その下に:「受験までXX日」とデカデカと書いた紙が挟んである。それは娘が学校から毎日もって帰ってくるものらしい。

事実、その15歳の娘はテーブルに着くなり、黙々と飯を済ませ、勉強部屋に消えていった。

話は自然と子供の教育に移った。親友ともう一人の同級生は一斉に今の学校のやり方に不満を口にした。

「教育産業化」という名の下で、中国の義務教育制度は崩壊寸前。良い学校には良い先生を高い給料で誘い、進学率の上げられない先生は容赦なく掃きだされる。学生の成績と進学率は唯一の教師評価指標になっている。

その結果、学生の宿題の量は膨大になり、擬似試験はしょっちゅう行われていて、成績の悪い生徒は、親が学校に呼ばれることが茶飯事になる。

進学試験を控える親友の娘は、午前2時まで宿題の連日だそうだ。翌朝車でわが子を学校に送るが、座席で居眠る彼女を見て、親友は心を痛む。

親の心配はこの先も続く、何しろ大学卒でも仕事にあり付ける保障はないのだ。ではなんのための勉強?それは生徒にも親にも分からない。

俺は思うが、一番生徒に勉強して欲しい、しかもちゃんとした目標意識を持っているのは先生たちだけだ。なにしろ、彼らの収入に直結しているからね。

では、親友の娘が今回の進学試験で成績が悪かったらどうなる?答えは金だ。

成績が悪くでも良い高校に入れる。義捐金という名目のお金を払えば。基準の成績ラインとどのくらい離れているかによるらしいが、相場は大体2万元、中国の平均年収の相当する大金だ。

嗚呼、少年少女はカウントダウンの中でこの夏を過ごし、これからもカウントダウンを待っている。

はい、皆さんの幸運を祈っております。

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